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<   2004年 06月 ( 3 )   > この月の画像一覧


6月下旬 引っ越し
6月26日午後3時に無事引渡しを終え、
工務店の石井さんと建築家の寺林さん、
そして引越しを手伝いに来てくれた友人を交え、
32年前の床・壁・天井と、生まれたての造作とが絡み合った空間に、ようやく"住人"としての実感が湧いてきたその時、
引越し屋さん『リサイクルボーイ』のお兄さん達が到着した。

3人のお兄さんで構成された引越し屋さんは、早い・安い・丁寧と三拍子揃った上に、
親切・さわやか・力持ち、と合計六拍子揃った素晴らしいチームだった。

恥を忍んで白状すると、実はこの時点で、まだパッキングが終わっていなかった。
――― すみません。。。

夕方からの引っ越しだから、余裕があるだろうとタカをくくっていたら、
いつの間にか1414号室に夢中になり、時間を忘れていたのだ。
そんな散らかった部屋をひと渡り見回して、お兄さん_1は
「ダンボールが足りなかったら、まだ余ってますから持ってきましょうか?」
とさわやかだった。
――― 恥ずかしかった。。。
――― 手伝ってくれていた友人も恥ずかしかっただろう。。。すまん。

そして、リーダー格のお兄さん_1がちゃっちゃと3人の役割分担を決めると、
彼らはパッとそれぞれの持ち場(12階と14階)へと散っていった。

本を目一杯詰め込んだ箱を
三段重ねて(!)一気に(!)小走りに(!)運ぶお兄さん_1。
――― 友人が「重くないですか?」と聞いたら、
――― 荷物を抱えたまま「重いっすよ!」と笑顔だった。すごい。

大きい冷蔵庫や洗濯機を長い腕を回してひょいと持ち上げ、くるりと回転し、
寸止めを駆使して細い廊下を進むお兄さん_2。
―――その細い体のどこにそんな力が潜んでいるのか?
―――私と友人は、彼が腰を痛めないかと心配だった。

今日が初めての仕事だと言いながら、一生懸命に先輩の先を読むお兄さん_3。

3人の役割分担は明確で、引越しは猛烈なスピードで進み、
1時間もしないうちに最後にして最大の大物・ベッドを残すのみとなった。


このベッドは、『徒然ひとりごと 2003年4月』で書いた思い入れの深~いものだ。
トランクベッドといって、油圧式のジャッキでフレームを持ち上げ、
ベッド下全体が収納スペースとなる特殊な機構を持つため、非常に重い。
しかも、ヘッドレストが引っかかって部屋から出ないことがわかった。
解体しようにも、工具がなくてできない、という。

そう聞かされた私は、一瞬頭が真っ白になった。
――― ベッドをこのまま1221号室に置いていくの???
――― 明日には鍵を大家さんに返さなくちゃならないんだってば。
――― それより、今日から寝るトコどうすんの!?
お兄さん_1もこんな特殊なものだと予想していなかったらしく、困っていた。
――― 確かに、彼らは小さなドライバーしか持っていなかった。

私は、彼に「ちょっと待っててください!」と言い置いて、
「石井さ~ん!寺林さ~ん!」と半泣きで1414号室へ駆け込んだ。
事情を聞いた2人は、
「そんなの、たぶん○○(工具の名前)があれば簡単だよ。」
と、工具を携えて1221号室へ来てもらうと、
「ここはこうなってるから、こことそこを外せば分解できるんじゃない?」
石井さんと寺林さんがそんな遣り取りを交わし、工具を手にすると、
ヘッドレストはあっけなく外れた。
――― ありがとう!

ここから引越し3人チームの底力が出た。
あの重い重~いベッドを2人で縦に(!)持ち上げ、
非常階段、しかも螺旋階段で運んでしまったのだ。
私は、幅の狭い螺旋階段を一段一段しずしずと運ばれていくベッドを対面の外廊下から見ていた。
なんだか深窓のお姫さまが輿で運ばれていくようだった。

『リサイクルボーイ』のお兄さんたち、本当に本当にありがとうございました。
この会社は、その名の通りリサイクルショップを兼ねていたので、貰い手がなく、
捨てるに忍びなかった家具も快く引き取ってもらった。
――― どこか誰かの家で役に立つことを祈る。

1221号室のチェックを終えて1414号室へ戻ると、深窓のお姫様には
ヘッドレストが取り付けられ、定位置に鎮座ましましていた。
石井さんと寺林さんと友人のおかげだ。
――― 工務店さんと建築家に引越しまでも手伝わせるなんて、なんつークライアントや。

ダンボールの山と化した1414号室を後に、私たち4人は打ち上げに繰り出した。
by michiphoto | 2004-06-30 15:11 | 住宅三昧


6月下旬 引き渡し
工事期間の10日間は、あっという間だった。
工事完了が一日遅れ、引き渡しと引越しが同じ日になった。
前日と当日は引越し準備もそこそこに、何度も何度も1414へ足を運んだ。
完成に近付いていく様子を見たかったのはもちろん、
石井さんを始めとする現場の皆さんに、少しでも感謝の気持ちを伝えたかったからだ。
もっと余裕のある工期だったら、ローコストの物件でも楽しんでもらえたかもしれない、という後悔も根底にあった。

午後3時頃、工事が終わった。
工具や材料がきれいに片付けられると、1414はぽつんと取り残された印象だった。
その日の朝、築地市場で仕入れておいたお土産と共に、
職人さんたち一人一人ににお礼を言った。
いくら言葉を尽くしても足りないような気がしたし、
逆にくどくど繰り返しても嘘っぽくなるような気がした。


短い期間だったけれど、
誰よりも早く現場に到着し、休日も割いていただいた水道屋さん、
デッキができあがったベランダで隅田川を見下ろしながら、
「ここは風が気持ちいいねぇ」と、ぼそっと言った大工さんや、
私が釘や工具の写真を撮っているのを見て、
「そんなんが面白いかい?」とたずねた大工さん、
「お客さんが煙草を吸う人だと気が楽だよ」と
美味しそうに煙草を吸っていた大工さん。
休憩が終わり、「よしっ、やるか」といった時の彼らの眼を、
Re1414号室のスタートにしたいと思った。

そして。
「消さないで!」と、いやがる石井さんの手を止めて、残してもらった壁の書き込みと、
「捨てないで~」と、寺林さんの手から奪い取った現場用の書き込みだらけの図面は、
32年前の青焼き図面と共に私の宝物となった。

職人さんたちが引き上げた後のがらーんとした1414には、
川風が気持ちよく抜けていった。
石井さんは最後の点検に余念がない。
少し前に登場した寺林さんは、
「う~ん、気持ちいいねぇ」と言いながら、ニコニコと点検。

引越しを手伝いに来てくれた友人は、コンクリート剥き出しの壁や、
32年前の断熱材が丸見えの天井、
まだ扉のついていないトイレや収納を見て、
「本当にこれで完成?本当にここに住むの?」
と真顔で聞いた。
「そうだよ。ここからつくり上げていくんよ。
 壁を塗ったり、扉を付けたり。
 でもこのままでもカッコいいっしょ?
 この荒っぽいコンクリートの感じが好きなんよ~。」
私は、いよいよこの空間に住むことができる、ということにワクワクし通しだった。
by michiphoto | 2004-06-28 15:08 | 住宅三昧


6月中旬 工事着工
実は、5月末に現在住んでいる賃貸・1221号室の退去届を提出していた。
つまり、6月末までに工事が完了しなければいけない、ということ。
『改修だし、図面はできてるし、小さい部屋だし、1ヶ月あれば余裕でしょ。』
と思っていた。
実際、建築家の寺林さんも工務店の石井さんも
「大丈夫ですよー」と言ってくれていた。

が。6月の初めに大問題が発生した。
国産の特に珍しいものではないバスユニットの納品に
数週間もかかるというではないかい。
(文房具は"アスクル"時代だというのに。)
大問題の大というのは、配管の位置を決めたり、細かい寸法を追うためには、
まず最初にバスユニットを施工しなければならなかったからだ。
バスユニットが納品されないことには工事がスタートできない・・・

「1221号室の退去を遅らせるか!?
 でも、もうこれ以上ローン返済と1221号室の家賃をダブって払い続けられない~!」
この叫びを汲んでくれた石井さんのおかげでバスユニットの納品が少し早まり、
本工事が始まったのが6月17日。
引越し予定日が26日。
つまり、工事期間は正味10日間という強行スケジュールとなった。

工事が始まった日から、10坪の1414号室は職人さんで溢れた。
写真を撮るために誰もいないであろう早朝の現場を覗きに行くと、
築地市場で腹ごしらえをした石井さんがすでに到着していた。
その後次々に職人さんたちが到着する。
管理規約上、工事の始業時間は8時半と決まっていたから、
そぉーっと準備を始めたり、小声で打ち合わせをしたりしている。

最初は、すごいなぁ、みんな早起きだなぁ、これが職人さんの生活かぁ、と感心し、
職人さんの道具や腰袋に興味津々だった。
けれど、休日の朝・昼・夕方と頻繁に顔を出して、大工さんと話していた時のこと。
ベニヤ仕上げの床を指して、
「ローコストっつってベニヤ使ったんだろうけど、
 これ、手間ばっかり食ってやりにくいんだよなぁ。 
 フローリングのほうがやりやすいし、きれいだよ。
 ま、いいんだけどさぁ。こんなんでいいの?ほんとに?」
と苦笑いされた。
その時、私は申し訳なさと猛烈な自己嫌悪に襲われた。
建築費を『材料代』や『手間代(人工代)』としてしか捉えていなかった自分に。
その向こうにある職人さんの仕事振りや彼らの矜持が全く見えていなかった自分に。
仕事柄、今までたくさんの住宅を見せてもらってきたはずなのに、
職人さんの仕事も間近で見せてもらってきたはずなのに、だ。
一体私は今まで何を見て、どこに感動して、何の写真を撮っていたというのか・・・

工事が進むに連れ、そんな思いがますます強くなっていった。
by michiphoto | 2004-06-15 15:04 | 住宅三昧